商売人と専門家
2016年2月18日
東京都世田谷区の司法書士事務所クラフトライフと申します。
弊所は、遺言・相続に専門特化した司法書士事務所です。
さて、ネットニュースで『某法律事務所に消費者庁が措置命令』といった記事がございました。
※ニュース記事では、事務所名が記載されています。
概要はこうです。(ライブドアニュースより引用)
・同事務所は過払い金返還請求の着手金を「今だけ」無料や割引にすると宣伝
・実際は5年近く続けていたのが景品表示法違反に当たるとされた
結果、消費者庁より措置命令が出されたという訳です。
同事務所は、テレビCMでお馴染みの事務所で、顧客は凄まじい数になりますから、極めてショッキングなニュースと言えるでしょう。
商売人と専門家
同法律事務所は、極めて商売上手な事務所であると思います。
いわゆる債務整理バブルで、あちらこちらで過払い金の広告が出され、弁護士と司法書士が熾烈な競争をしている中、勝ち抜いた弁護士事務所という事になる訳ですから。
しかし、商売が上手である事と、専門家としての質は比例しません。
昨今、弁護士や司法書士の業界は大きく変わりました。
いかに専門的知識がある先生であっても、商売が下手であれば、事務所は上手くいきません。
反対に、専門的知識が相対的に乏しい先生であっても、商売上手であれば、事務所は上手くいきます。
そして、上手くいっている事務所は、お客様から見ると、優れた専門家であると映ります。
専門家、とりわけ弁護士、司法書士、税理士といった、高度な専門性を有する職種の人間は、知識のみの研鑚に注力し過ぎる方が多いように、私個人は感じます。
専門家業界に、市場の原理が強く及ぼされるようになってから10年以上が経過しました。
拡大する事務所は拡大し、一方で淘汰される事務所が多数現れています。この状況は当面続く事でしょう。
大都市と地方で、その速度は大きく異なりますが、一つの変化から、専門家市場は成熟しつつあるように思います。
専門家は、専門家としてだけではいられない。
優秀な商売人としての側面を持たなければ、生き残る事の出来ない業界へと急速に変化している事を日々感じております。