『遺言・相続相談は誰に?』後編
2015年11月19日
東京都世田谷区の遺言・相続専門家、司法書士の植松と申します。
今回は、前回のコラム『弁護士、司法書士、行政書士、税理士、遺言・相続相談は誰に?』の後編となります。具体的に、どのように相談先の業種を選べば良いのかをご案内致します。
早速、本文に参りましょう。まずは、弁護士や司法書士といった業種の選び方です。
弁護士、司法書士、行政書士、税理士。相談はどこに?
これらの業種には、それぞれ特色がございます。
一般的な、その特色と、遺言・相続業務においての専門性を個別に見てみましょう。
弁護士
争い事のスペシャリストです。
訴訟の代理は、司法書士も可能ですが、制限があるため、、スペシャリストと呼べるのは弁護士のみでしょう。
司法書士
登記と名のつく手続きのスペシャリストです。
争い事も一部行う事は出来ますが、制限があります。
そのため、争い事については、スペシャリストとまでは言えないでしょう。
行政書士
行政手続きのスペシャリストです。
例えば、外国人のビザや風営法の許可等についてのスペシャリストです。
税理士
税関係の手続きのスペシャリストです。
弁護士も税理士と同様の業務が可能ですが、税においては、弁護士も素人とそれほど変わらないでしょう。
以上が、各専門家の一般的な特色です。
ここまでで、遺言・相続をどの専門家に相談すべきかを多少は絞れますね。
即ち、弁護士、司法書士、税理士のいずれかです。
遺言・相続に関連する特色を、行政書士のみ有しないためです。
では次に、遺言・相続業務を行うに当たり、必要となる主な知識を確認しましょう。
その上で、その知識を有するのはどの業種か。上記3業種に当てはめてみます。
遺言・相続業務に必要な主な知識
必要なのは、民法、税法、訴訟の知識です。
このうち、民法と訴訟の知識は、最低限必要な知識であり、税法はその業務の質を上げるために必要となります。
どういう事か。ご説明いたします。
まず、民法の知識は、あらゆる判断の前提となるものですから必須です。
次に、訴訟の知識ですが、民法だけでは、判断が出来ない事柄が多分にあるため必須となります。
また、これが無いと、未然に争いを防ぐといった事が出来ません。それでは専門家に依頼する意味は希薄でしょう。
最後に税法ですが、これは、相続税はいくらか、相続税を減らすにはどうすれば良いかといった際に必要となるものであって、必須ではないですね。
知識があった方が、より良い成果を挙げられるといったものです。
弁護士、司法書士、税理士。知識を有する業種は?
弁護士、司法書士は、民法、訴訟の知識を十分に有しています。しかし、税理士は税法に精通しているものの、民法と訴訟知識については、不十分です。
何を根拠に言っているかといいますと、資格試験の内容と、強制又は半強制の研修制度の存在です。税理士の場合、いずれも、民法、訴訟の知識を得るには不十分な内容のためです。
さて、これで弁護士と司法書士に絞られました。では、どちらに相談するのが良いのでしょうか。ここまでの説明ですと、弁護士は訴訟を全て行えますから、弁護士の方が良さそうですね。しかし、結論は司法書士に相談するのが良い。となります。私が司法書士でありますから、そうしておきたいといった気持ちもありますが、それだけではございません。あくまで客観的に見て、相談先は司法書士が良いとの結論となります。
理由をご説明しましょう。
遺言・相続の相談は、弁護士よりも司法書士が良い
理由は費用と質
弁護士は、何をするにも、司法書士よりも高額な料金を求められます。費用が高いのは、その分、司法書士よりも高度なサービスを提供しているからではないかと言うと、そうでもないのです。遺言・相続業務においては、争いごとにならない限りは、司法書士で十二分な質のサービスが提供出来ます。弁護士の料金が高いのは、単に慣習が理由であって、これが受け入れられるのは、弁護士というブランドのよる安心感によるものでしょう。同じサービスの提供であれば、安い方が良いと考えますので、費用対効果から、司法書士をお勧めするという結論になるのです。
以上。ご参考にして頂けますと何よりでございます。