認知症と相続
2016年1月11日
東京都世田谷区の、遺言・相続、成年後見の専門家、司法書士の植松と申します。
今回は、認知症の方が相続人にいる場合のお手続きについてです。
認知症の方がいる場合、相続手続きは可能?
預貯金や株式、不動産の承継において、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が必要となります。
この遺産分割協議を行うには、判断能力を有する事が必要であり、これを有しない者が当事者として行った協議は無効です。
判断能力を有しないのであれば、成年後見制度を利用して、本人に代わって後見人が遺産分割協議を行う事が必要となります。
ここで知っておいて頂きたいのが、【認知症=判断能力が無い】というわけではないという事です。
認知症の度合
認知症と一言で言っても、その症状は多岐に渡り、判断能力がある場合もあるのです。
例えば、日常生活は家庭内及び社会的にもほぼ自立しているような場合であっても、認知症と診断される事がございます。
このようなケースは、恐らく、年をとったなと流してしまう程度でしょう。病院で診断を受ける必要性もないと考える方が多いかと思います。
このような場合は、遺産分割協議も出来るでしょう。
重要なのは医師の診断を受ける事
判断能力を有するか否かの判断は、医師でなければ責任をもって行う事が出来ません。
安易な判断で、遺産分割協議を行い、手続きを進めてしまうと、後に大きなトラブルになりかねません。
司法書士等の専門家が関与していれば問題ないか
司法書士や弁護士といった専門家が手続きを行う場合、相続人全員の意思の確認を行います。
この際、しっかりとしたプロの専門家であれば、高齢の方や判断能力に少しでも不安を感じるような方がいれば、入念に意思確認し、選択肢として医師に判断を仰ぐ事もあるでしょう。
ここまで慎重な専門家であれば良いのですが、そうでない専門家もいらっしゃいます。
つまり、司法書士等の専門家が関与していたとしても、遺産分割協議が無効となり、相続手続き全体に瑕疵が残る状態となり得るのです。こうなると、場合によっては、深刻なトラブルに成りかねません。
認知症の方がいても、相続手続きは可能である
結論ですが、軽度な認知症であれば、当人同士で相続手続きは可能。症状が重い場合は、後見制度の利用が必要という事です。
金融機関や証券会社、法務局は、相続人全員の判断能力の確認はしません。書類だけで手続きを行います。だからこそ、安易な判断で相続手続きを進める事にはリスクがあります。
相続手続きは、極めて重要な権利の得喪に関わる、重大な手続きです。後のトラブルを未然に防ぎ、予期せぬ高額な出費が必要となる事がないように、相続手続きは、相続業務に強い司法書士や弁護士を利用される事をおすすめ致します。
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