身元引受事業者の不正
2016年2月6日
遺言・相続、成年後見を専門的に行っている、東京都世田谷区の司法書士、植松と申します。
本日、毎日新聞で、公益財団法人日本ライフ協会が公益認定が取り消される見通しとの記事がございました。
高齢者の預託金を流用した事が発覚し問題となり、民事再生法の適用を申請していた同社ですが、今後、聴聞手続きを経て、公益認定が取り消される見通しのようです。
この公益財団法人日本ライフ協会は、どのような事業を行う法人かと言いますと、主に身寄りのない高齢者の身元を引受ける事業を行っている会社です。
身元引受人とは
身元引受人をご存知でしょうか。
老人ホーム等の高齢者施設入所に当たり、ほとんどのケースでこれを求められます。
基本的には、親族等が入所者の身元を引き受けるのですが、身元引受人を用意できないような方はどうしたら良いか。
施設によっては、一定の預託金を支払うことで、入所を許可する所もあるようですが、一般的ではありません。
つまり、身元引受人を用意できない場合、高齢者施設に入る事は困難なのです。
そこで頼れるのが、身元引受けを行う事業者です。
身寄りがなく、高齢者施設に入所できない方の身元を引受け、これにより、施設入所の願いが叶います。
現在、高齢者の増加と共に、身寄りのない高齢者も増えています。
身元を引き受けてくれる第三者の存在は、今後も益々需要が高まるでしょう。
トラブルもある
一方で、トラブルは少なくないようです。
相続人との預託金を巡るトラブルや、契約の不履行、身元引受事業者の中には、契約時に見守り、財産管理や任意後見、死後事務委任といった契約も併せてしなければならないところもあり、不透明な料金体系等によるトラブルがあるようです。
身元引受の事業は、何らかの資格や許可、届出等一切必要なく、誰でも行う事が出来てしまいます。
今後、この事業に関する何らかのルールの整備が早急にされない限り、上記のに挙げたトラブルや、搾取ともとれる契約が増加する事が危惧されます。