農地の相続
2016年3月23日
東京都世田谷区の司法書士事務所クラフトライフと申します。
弊所は、遺言・遺産相続に専門特化した司法書士事務所です。
農地の権利移転には許可が必要
農地の所有権移転等をする場合には、原則として農地法による許可が必要となります。これが必要であるにも関わらず、譲渡した場合には、その行為は無効であり、登記の申請自体が受理されません。
農地法上の許可が不要な場合
但し、これには例外があります。
一つは、農地法上の許可を受ける事を条件として譲渡する場合です。この方法によれば、農地の所有権移転等は無効とならず、有効に譲渡が成立します。登記につきましても、仮登記という方法により権利を保全する事が可能です。
もう一つが、所有権移転等の原因により、農地法の許可が不要とされている場合です。相続につきましては、これに該当するため、農地法の許可を要する事無く、相続により権利が移転します。
遺産分割、遺贈、相続分の譲渡による場合
遺産分割により、相続人のうち一人が農地を取得する事とした場合も、農地法の許可は不要です。また、遺贈による場合も同様です。
遺贈には、特定遺贈と包括遺贈とに種類が分かれますが、いずれの場合も、農地法の許可は不要であり、登記の申請につきましても、通常通り受理されます。
相続分の譲渡による場合もまた然りです。農地法の許可は必要ありません。
但し、相続分を第三者に譲渡する場合には必要となります。
農業委員会への届け出は必要
農地の権利取得に当たり、農地法上の許可を要しないとされている場合であっても、農地を取得した者は、その旨を遅滞なく、農業委員会へ届出なければなりません。
農業委員会からの処分
そして、農業委員会には、農地の適正かつ効率的な利用が図られていないおそれがあると認めるときは、当該農地の所有権の移転又は使用および収益を目的とする権利の設定若しくはあっせんその他の必要な措置を講ずる権限を与えられています。
要するに、相続や遺贈等により取得した農地を、放置したままにしておく等していると、何らかの措置を受ける事があるため注意が必要であるという事です。