遺言書は、作成したらそれで終わりではない?
2015年10月27日
東京都世田谷区の司法書士、植松と申します。
遺言書を作成される方が随分と増えているようです。
相続トラブルを回避するためには、遺言書の作成が極めて重要であるため、これはとても良い傾向でしょう。
弊所でも、相続トラブルの回避を目的の一つとして、遺言書の内容のコンサルティングから作成まで行っております。
しかし、遺言書があるにも関わらず、相続トラブルに発展するケースがあるようです。
遺言書の方式違反や遺言能力の存否、破棄や隠匿等、遺言書がある場合の相続トラブルといっても多岐に渡りますが、今回は、遺言書作成後、効力発生までの間放置した事が原因で考えられるトラブルについてです。
遺留分の侵害
遺言書を作成する際、遺留分について検討するかと思います。
遺留分を主張するに至った時点で、相続トラブルというかどうかは別として、相続人間に不和が生じる事は、ほぼ間違いないでしょう。減殺対象者が相続人以外の者であれば尚更です。
要するに、遺留分を侵害する内容の遺言は、争いの種を遺す事になるという事です。
では、遺留分を侵害しない内容で遺言書を作成したとしましょう。
この場合であっても、遺言書作成後の様々な事情の変更により、遺留分を侵害してしまうことが考えられます。
財産額の変動
作成時点で侵害していなかったとしても、地価、株価の変動等、財産額の変動により、遺留分額算定時点で、遺留分を侵害してしまう結果となる事が考えられます。
生前贈与
相続人外への贈与で、死亡から1年以内又は、双方悪意の条件を満たしている場合、相続人への贈与であれば特別受益として。
いずれにしても、遺言書作成後の生前贈与により、遺留分を侵害する結果となる事が考えられます。
遺言書の定期的なメンテナンスの必要性
上述した通り、遺言書作成後の財産の変動、生前贈与は遺留分を侵害する危険があります。
しかし、だからといって、すべての財産を金銭換価した上で遺言書を作成したり、生前贈与はしない等といった事は、現実的ではないでしょう。
そこで、重要となるのが、遺言書のメンテナンスです。
即ち、財産額の変動や、生前贈与等により、遺留分の侵害やその他の問題は生じていないかを確認し、必要であれば修正するといった作業です。
心情の変化により、遺言書の修正、再作成をするのも良いでしょう。
遺言書は作成したら終わりではない
遺言書の役割には、遺言者の最終意思の実現と、相続人の負担減があります。
これを確実に実現するには、年に1度は、専門家による遺言書のメンテナンスを受ける事が重要です。
遺言書は、作成したらそれで終わりではないのです。
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