株式会社設立時の定款作成で注意すべき事項

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定款作成で知っておきたい8つの事項

株式会社設立時の8つの定款注意点

商号(会社名)

(1)同一商号・同一本店の禁止

同一所在場所でない限り、同一商号の会社が他に存在していても、登記可能です。

(2)類似商号等の規制

不正な目的をもって、他の会社と誤認される恐れのある名称、商号を使用する場合は、その商号の使用差し止め、損害賠償を請求される可能性があります。

(3)特定文言の使用制限

a)「銀行」「信用金庫」「保険」等、一定の文言を使用し、これらの事業者であると誤認される恐れのあるような場合は、その名称は使用出来ません。この制限は、他の文字を付加して使用した場合には、判断が困難である事があります。可能な限り、制限に該当しない事が明白な商号を使用するか、専門家に相談される事をおすすめ致します。

b)以下の文言は、商号中に用いる事は出来ません

・「支店」、「支社」、「出張所」、その他、「〇〇部」等のように、会社の一部門を示すような名称。

目的(事業内容)

会社の目的の記載については、以下のサイトで、既存の会社の目的事例を閲覧出来ますので、参考にされると良いでしょう。

会社目的事例検索サイト

http://www.e-mokuteki.com/       http://mokuteki.jp/

「その他適法な一切の事業」の記載は避ける 

上記サイトで検索すると、目的の末尾に「その他適法な一切の事業」との記載がある事例があります。登記の可否で言えば問題はないのですが、このような、事業目的の具体性に欠ける記載は、会社の構成員や取引相手、債権者等の利害関係人に不利益をもたらす恐れ(取締役の目的外行為の差し止め請求が困難になる等)がありますので避けましょう。 

許認可が必要な事業であっても記載は可能

許認可が必要な事業であっても、目的として記載する事は、一部の例外を除き問題ございませんので、将来的に行う予定の事業目的も記載されると良いでしょう。

公告方法

公告方法は、「官報」「日刊新聞紙」「電子公告」の三種があります。一部の例外を除き、株式会社は、毎事業年度、定時株主総会終結後遅滞なく、決算公告をする必要があり、この公告は、上記のうち任意に定めた方法により行う事となります。なお、決算公告とは、自社の貸借対照表の公告を指します。

電子公告か官報公告がおすすめ

電子公告による方法は、決算公告を、自社のHP上で掲載出来ます。そのため、自社のHPがあれば無償ですから、最もコストがかからない方法となります。但し、自社の貸借対照表の全文をHP上で公開しなければならないため、取引先等に見られる可能性は高くあります。 

官報公告による方法の場合、6万円程度の費用が必要となります。官報は一般には読まれていないため、電子公告と比して、自社の貸借対照表等が取引先等に見られる可能性が低いです。

日刊新聞紙による方法の場合、費用が高額で、これに相当するメリットもありません。

従って、株式会社設立当初の公告方法については、自社の決算内容を出来るだけ知られたくないならば官報に、あまり気にされないようでしたら、電子公告によるのが良いでしょう。なお、電子公告の場合には、ウェブサイトのURLを定める必要がありますが、定款には記載しないようにしましょう。定款に記載すると、URLの変更があった場合に、定款の変更もしなければならないためです。

本店所在地

会社の本店所在地を定めます。但し、住所を細かく書いてしまうと、本店を移転するたびに定款変更をする必要が生じるため、定款の記載上は、最少行政区画までとされた方が良いでしょう。

資本金の額

資本金の額を定めます。原則として、資本金の額は、発起人全員の入金額の合計額となります。

資本金の入金時期や額、注意点はこちら ⇒ 株式会社設立の資本金

発行可能株式総数/設立時発行済株式総数

いずれも任意に定めます。全ての種類の株式に譲渡制限規定を設けている株式会社を「非公開会社」と呼び、そうでない株式会社を「公開会社」と呼びます。公開会社の場合、設立時発行株式の数の4倍を超えて発行可能株式総数を定める事は出来ません。

株式の種類

株式は、その権利内容の異なる定めを設ける事が可能です。これを種類株式と呼び、具体的には、以下の9種のいずれかについて内容の異なる定めを設けた株式を指します。 

  • ・剰余金の配当
  • ・残余財産の分配
  • ・議決権を行使できる事項
  • ・譲渡制限規定
  • ・株主による取得請求権
  • ・会社による取得条項
  • ・会社による全部取得条項
  • ・拒否権
  • ・取締役又は監査役の選任権

また、上記の他にも、株主ごとに異なる取り扱いをする旨を定める事も可能です。種類株式については、専門性が極めて高いものになります。ここでは、こんなものがある程度に知っておけば十分でしょう。各種類株式の概要を知りたい方はこちら ⇒ 株式の種類と使い道

株式の譲渡制限規定

株式の譲渡による取得につき、会社の承諾を必要とする事で制限する規定です。この規定を設けないと、取締役会を設置しなければならなくなり、取締役の人数も三人以上必要となってしまいます。このような事情もあり、創業時の株式会社の多くは、譲渡制限規定を設けています。譲渡の承認機関は、株主総会や取締役会と定めている会社が多くありますが、「当会社」とだけ定めれば、取締役会設置会社であれば、取締役会の承認、取締役会を設置していなければ、株主総会となります。その他、「代表取締役」と定める会社もあります。

取締役の任期

非公開会社(全ての種類の株式に譲渡制限規定を設けた会社)であれば、取締役の任期は10年以内で任意の期間を定められます。任期が満了すれば新たに登記をする必要があるため、10年としておけばコスト面では安く済むでしょう。

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