遺産相続の相談はどこに?各業者を特色と費用から比較
遺産相続の相談先として、インターネットで調べると、多種の専門家がヒットします。弁護士、司法書士、行政書士、税理士の他にも、ファイナンシャルプランナーや保険会社、金融機関、相続診断士等の民間資格を名乗る方等々。多種多様の選択肢がある中で、一体どこに相談をするのがベストなのか。費用面と特色の2点から、遺産相続の業界に身をおく司法書士事務所クラフトライフが解説いたします。
弁護士
特 色
- 資格試験の性質上、遺産相続に必要な、十分な法律知識と訴訟知識がある。
- 遺産相続の争いにおいては、弁護士以外が代理人としてサポートを行う事は出来ません。この点が、他の専門家にはない最大の特色です。一方で、弁護士は、争い事に発展してこそ大きな利益を得ることが出来るという側面があり、争いを辞さない立場である事を念頭に置く必要があります。
- 各専門家には、それぞれ得意分野と、そうでない分野とがありますが、特に弁護士においては、これが顕著です。中でも、遺産相続の分野は、弁護士業界の中ではステータスの高い業務ではない事があり、この分野で高い専門性を有している弁護士は数少ないのが実情です。
- 遺産相続発生後の諸手続きのみの依頼(相続登記等の各種名義変更等)は、引き受けないか、提携の司法書士等に外注している所が大多数です。
費 用 面
何を依頼しても、費用が格段に高いです。遺産相続争いの代理人を依頼するのであれば、高額な料金も納得ですが、他の専門家と同様のサービスにも関わらず高額な費用はネックです。他の専門家と比較すると、その違いは数万円単位どころではないのが一般的です。
行政書士
特 色
- 行政の許可や届け出等(飲食店開業や外国人のビザ等)に専門性を有します。
- 他の専門家に比して、クリエイティブな方が多く、優れたサービスの構成、ホスピタリティを有する方が多いです。但し、資格の性質上、遺産相続に必須の知識である、権利関係の法律知識に乏しく、訴訟知識、中小企業経営者の遺産相続に必要な会社法等の知識に欠けます。
- 不動産の名義変更(相続登記)が出来ません。
費 用 面
- 一般的に、費用が安いと言われますが、遺産相続の分野に関しては、他の専門家(弁護士除く)とあまり変わらないのが実情です。
- 不動産の名義変更(相続登記)が出来ないため、不動産をお持ちの場合は、行政書士費用に加え、司法書士への依頼と費用を考える必要があります。
司法書士
特 色
- 資格試験の性質上、遺産相続に必要な、十分な法律知識と訴訟知識、中小企業経営者の遺産相続に必要な会社法等の知識がある。
- 遺産相続争いの代理人にはなれない
- 不動産の名義変更(相続登記)が可能
費 用 面
・弁護士と比して安価で、行政書士と同程度です。ただ、不動産の名義変更(相続登記)の外注がないため、行政書士よりも総額が安くなる事が考えられます。
税理士
特 色
- 相続税等、税に関して高度な専門性を有します。弁護士も同様の業務が可能ですが、専門性を有しているのは税理士であり、実務上、弁護士は、税に関する業務については、税理士に回す事が一般的です。
- 資格試験の性質上、税務面を除いた、遺産相続に必要な法律知識に乏しく、訴訟知識がありません。
- 相続税の申告は、専門性が高く、出来る税理士と出来ない税理士の二極化しています。
- 相続税の申告が必要ない場合には、遺産相続手続きには関与しません。
費 用 面
費用については、相続税の申告が税理士の専売特許であるため、他の専門家との比較はできません。
その他
金融機関
特 色
- 金融機関に遺産相続のご相談をされると、親切に司法書士や税理士を紹介してくれます。但し、紹介された司法書士や税理士が、遺産相続に強いか否かについては、全く考慮していない金融機関が大半です。また、費用が割高なケースが多いようです。
- 信託銀行等、遺言信託のサービスを提供している所であれば、これを勧められます。ただ、非常に高額です。
- 信託銀行等の場合、株式投資や土地活用等、資産運用のスペシャリストのアドバイスをもらえます。ただ、営業がしつこい事もあるようです。
費 用 面
- 信託銀行等の遺言信託の費用は極めて高額です。信託銀行に支払う費用に加え、税理士費用・司法書士費用も別途必要となります。
- 信託銀行等で使われている税理士・司法書士の費用は割高である事が多い
民間企業や生保業者
特 色
- ファイナンシャルプランナーであれば、ライフプランを、生保業者であれば、生命保険について専門的な知見を伺えます。
- 遺産相続においては、提携の各種専門家へ外注されます。
費 用 面
それぞれの商品費用に加え、司法書士や税理士等の費用がかかります。
遺産相続をどの専門家に依頼するか
お手盛りのようですが、司法書士にご相談されるのが費用対効果の面でベストであると考えます。
弁護士は費用が高い割に、サービスの質に違いはなく、税理士は、基礎控除の枠内で相続税の申告の必要がなければ関与の必要がありません。その他の業種においては、そもそも専門性に欠けます。そのため、あくまで一般論ですが、司法書士にご相談されるのが堅い選択でしょう。
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