賃貸アパートオーナーの家族信託の事例

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まだまだ若い賃貸アパートオーナーの家族信託の事例

若い賃貸アパートオーナーの家族信託

こちらでは、一般的にご高齢の方が行うイメージのある家族信託について、62歳で行った方の事例をご紹介致します。

※掲載事案等につきましては、一部実際の事例と変えてあります。

家族信託の事案概要

  • 62歳のAさんは、自身の相続と老後資産運用を考え、賃貸アパートを購入した。
  • 融資を6,000万円利用し、その返済期間は20年である。
  • 賃貸アパート購入後、Aさんの手元にある金銭は500万程度となった。
  • Aさんには、配偶者Bさん66歳、長男Cさん30歳、長女Dさん33歳の家族がいる。
  • Aさんは、自身の相続では、Dさんに賃貸アパートを承継させたいと考えている。

家族信託を組むべき理由

本件では、Aさん本人はまだ若く非常にお元気な方でしたが、長期に渡る賃貸アパート運営において、認知症等による判断能力低下のリスクを避けるため、家族信託を組みました。

少し具体的なお話を致しますと、本件賃貸アパートの土地は、建蔽率・容積率等の関係から既存の建築物よりももっと大きな建物を建築する事が可能なものであり、また、賃貸需要の非常に高い立地にある事から、完済後の建替え計画して購入したものでした。賃貸需要の変化に伴い売却・買い替え案も代替案としてあり、いずれにしても、返済期間は手堅く運用し、完済後に大きく利益を出していく計画でした。

そのため、完済時点の20年後における判断能力が必須であるものでした。

任意後見では対応が難しい

本件賃貸アパート購入と運用は、資産運用の観点が要素となっております。そのため、積極的な資産運用が制度主旨に沿わないと考えられる任意後見による対応は難しいと考えられます。

遺留分放棄を併せて行った

本件信託では、Aさんの相続開始に伴い終了する形を取っており、帰属権利者を長女Dさんに集約しております。Aさんの財産の大半が信託財産となっており、長男Cさんの遺留分を侵害する結果となります。

そのため、長男Cさんの遺留分放棄手続きを行いました。

長男Cさんは、Aさんの母親(存命)Xさんの相続税対策で養子となっており、遺言によってXさんの自宅土地建物を相続する事となっていました。被相続人が異なる以上、一方の遺産相続が他方の遺産相続に影響する事は原則ないのですが、遺産相続は、法律上の問題は主張を正当化するツールに過ぎず、結局のところ感情問題という側面が大きいため、家族会議に同席させて頂き、これを踏まえ、複数の被相続人の遺産相続を合わせて考えて分配割合のバランスを取る形を取りました。

信託契約の効力発生に停止条件を付けた

信託契約は一般的に契約日に効力を発生させる事が多いのですが、本件では、Aさんが若くお元気であり、賃貸アパート管理に主体性があったため、即時効力を発生させるのではなく、一定の条件によって効力を発生させる形を取りました。

家族信託を検討する際には、遺産相続についても検討すべき事項となります。信託は有用ですが、これだけで総合的解決を図れるものではないため、他の手法と併せて最適な解決法を導き出し実行する必要がございます。

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