ご家族に重度の障害又は認知症の方がいる場合の相続
相続が発生した際、相続人に重度の障害や認知症等により判断能力に問題がある方がいらっしゃる場合、遺産分割協議をすることができず、様々な問題が生じてしまいます。
実際の事例を通して見ていきましょう。
お母さんが認知症、、
Aさん(46歳)は、この度、お父さんであるXさん(83歳)が亡くなったことから相続が発生しました。Aさん以外の相続人は、お母さんであるYさん(81歳)そして遠方に暮らす姉であるBさん(50歳)です。しかし、Yさんは1年ほど前から認知症を患っており、会話することができなくなっていました。
Xさんの相続財産はご自宅と預貯金が400万円ほどでした。
これまでは、お父さんであるXさんがYさんの身の回りのお世話をし、近所に住んでいたAさんが小まめにお手伝いをしていましたが、Xさんが亡くなったことで、今後のYさんのお世話は介護施設に預けざるえなくなってしまいました。
しかし、施設の入所となるとお金がかかります。不動産を売却し、その資金で施設入所を考えましたが、Yさんが重度の認知症であるため遺産分割協議ができず、不動産の売却や亡くなったXさんの口座からお金を引き出すことができないのです。
成年後見人を選任することに、、
Xさんが亡くなったことで口座は凍結されてしまい、AさんがYさんの身の回りのお世話とその他の費用を負担することになりました。
遺産分割協議をするためには、成年後見人を選任するしかなく、裁判所に選任の申立てをすることになりました。しかし、慣れない手続きということもあり、成年後見人の選任の申立をすることに手間も時間もかかってしまい、その間発生した費用等を清算することができませんでした。
また、その後新しく選任された成年後見人と遺産分割協議をすることができた後も、成年後見人に選任された専門家に月額2万円程の費用が発生することになったのです。
生前に対策をしておくことが大切です!
今回の事例のように、相続人の方に認知症の方がいらっしゃる場合、遺言書等により、相続財産が誰に相続されるのかが定められていない限り、裁判所に成年後見人を選任してもらい、遺産分割協議をするしかないのです。
遺産分割協議というのは、遺産を誰が相続するのか決まっていないときにみんなで話し合って決めようという手続です。よって、遺言書等で遺産の相続先をあらかじめ、Aさんが決めておけば、成年後見人を選任する必要はありませんでした。
Xさんが生前に遺言書等を残しておけば、成年後見人を選任する必要はなかったのです。
是非、一度専門家にご相談下さい
ご家族が認知症になった場合に、裁判所に成年後見の申立をすることができます。その場合には、ご家族の人を後見人希望として提出することもできるのです。
しかし、今回の事例のように、相続の問題が発生し、それを契機に成年後見人の選任申立を行った場合、ご家族の人を後見人として希望することはできても、その希望を通すことは難しくなります。
ご家族に認知症の方がいらっしゃる場合には、是非一度専門家にご相談下さい。認知症の程度によっては、任意後見契約等様々な方法がございます。。
私たちは法律の専門家として、一番適切な方法で、ご家族のご不安を解決致します。
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