預貯金引出や不動産売却が出来くなる?認知症の法律問題解説

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認知症に伴う法律問題

認知症は、その程度の差はあれど、判断能力の低下を伴います。この判断能力が低下する事によって、法律的な問題が生じ、生活への支障が生じる恐れがございます。

法律行為には、判断能力が必要

認知症に伴う法律的な問題とは、法律行為の前提として必要となる、判断能力(意思能力)が低下する事により生じます。

法律行為とは

そもそも法律行為とは、その行為によって、法的に行使可能な権利や義務を発生させる行いを言います。例えば、定期預金を解約する、不動産を売る・買う、水道工事をお願いする等々、これらは法律行為です。

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意思能力とは

この法律行為を行うには、意思能力が必要となります。意思能力とは、自分の行為による、法的な結果を認識・判断出来ることを言います。イメージとしては、何かを買ったり売ったりするとどうなるか、の意味を理解できる事です。この意思能力を欠いてした⾏為は無効となります。法律行為と一重に言っても、その内容は様々で、必要となる意思能力のレベルは異なります。例えば、りんご一つの売買と、不動産の売買、いずれも売買契約ではありますが、不動産の売買契約は、瑕疵担保責任や解約手付、登記義務等契約の内容は複雑ですから、求められる意思能力は、りんご一つの購入よりも高度になります。

認知症になると、程度の違いはあるものの、意思能⼒が不十分となるため、法律⾏為の内容によっては、行う事が出来なくなるのです。

※意思能力は法理用語ですが、判断能力は法律用語ではありません。言葉の意味として、判断能力=意思能力とは言えませんが、同じようなものとお考え下さい。

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認知症に伴う具体的問題例

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預貯金の引き出し、解約等

キャッシュカードを用いてATMでという形であれば、結果として引出や振り込み等可能ですが、窓口での処理の際に、問題となる可能性がございます。金融機関によって対応がまちまちで、マニュアル自体がなく、個別対応となるようです。基本的には、認知症の疑いがある場合でも、住所氏名が書ければ通常通り処理は可能で、これが出来ない場合は、対応は困難との事です。但し、あまりにも不安が残る事案の場合は、住所氏名が書けるにしても、個別に検討する事もあるようです。なお、認知症の診断の有無は関係がないとの事。

幾つかの信用金庫に確認したものの、上記のように、明確ではないのが実情です。そもそも、その行為に必要となる意思能力の有無の判断など、困難なものですから、致し方ないところではあるかと思います。玉虫色の問題ですが、重度の認知症であると、預貯金の引き出しや定期預金の解約等が出来なくなる可能性があるという事を知っておきましょう。

不動産の売却

財産を相続する事となる家族のために、バブル期に購入した山林や原野等を整理したい、有料老人ホーム等の施設に入るため、その原資として、不動産を売却したい。このような際に、認知症になっていると、これが出来ない可能性がございます。不動産の売却、特にご自宅の売却ともなれば尚更ですが、重大な結果をもたらす法律行為ですから、判断能力に疑いがあるようですと、売却は困難となります。

なお、法定後見人を就けることで、法律行為を代わりに行ってもらう事は可能となりますが、ご本人の生活において合理的必要性のない不動産の売却は困難で、ご自宅の売却は、非常にハードルが高いものとなります。

大規模修繕や建替え、リフォーム

大規模修繕や建替え、リフォーム等は、不動産の売却同様、高度な判断能力が求められると考えられる法律行為です。大きな地震等で、大規模修繕が必要となったり、これを機に建て替えをしたい、家族が住めるようにリフォームしたい等と思っても、判断能力の低下の程度によっては、これが出来なくなる可能性がございます。

なお、法定後見人が就いた場合、本人の生活のために必要な範囲内でしか、お金を使うことは出来ないため、建替えはまず難しく、リフォームや大規模修繕も、本人の生活に必要な範囲のみでしか出来ないと考えられます。

まとめ

法律行為には意思能力が必要で、これを欠いた法律効果は無効である。預貯金の引き出しから不動産の売却、建て替えなど、相手方の立場に立って考えると、認知症の方と契約を結ぶ怖さが分かるかと思います。小難しい内容もありましたが、知っておいて頂きたいことは一つです。

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